この記事について

FXを始めると必ずぶつかるのが「どれくらい持つのが正解なのか」という疑問です。スキャルピング(数秒〜数分)、デイトレード(日中)、スイング(数日〜数週間)——分類はいくらでも出てきますが、実際の口座の保有期間を全部数えた記事は多くありません。

この口座は「50銭下がったら買い、50銭戻ったら売る」だけの運用なので、保有期間は自分で決めていません。相場が戻るまでの時間がそのまま保有期間になります。だからこそ、集計すると「値動きが玉をどれくらいの時間で解放するか」が見えます。数字は2026年に決済を終えた134本の明細から、そのままです。

結論から:中央値8.7時間、平均54.2時間

指標実績(決済134本)
中央値8.7時間
平均54.2時間(約2.3日)
1時間未満で決済27本(20%)
24時間未満で決済90本(67%)
7日以上の持ち越し13本(10%)
最長38日

まず目を引くのが、中央値8.7時間に対して平均54.2時間という差です。平均が中央値の6倍以上あります。

なぜ平均と中央値がこれほど割れるのか

理由は単純で、少数の長期持ち越しが平均を引き上げているからです。

  • 3分の2(90本)は24時間以内に決済されている
  • しかし10%(13本)は7日以上持ち越し、最長は38日
  • この「戻ってこなかった少数」が、平均を2.3日まで押し上げる

FXの保有期間を語るときに「平均◯日」だけを見ると実態を誤ります。多くはすぐ決済され、一部が長く残る——この分布の形こそが、損切りしない運用の本質です。中央値と最長を並べないと、この形は見えません。

同じことは損益にも言えます。この口座の平均損益は+564円ですが、それは「毎回+564円ずつ確実に取れる」という意味ではありません1件の内訳)。平均は分布を隠します。

保有期間は「相場が決めている」

この口座が保有期間を決めていない、というのは記録で確認できます。

  • 決済指値は建てた瞬間に+50銭で固定される(運用の形
  • だから決済のタイミングは「価格が+50銭戻った瞬間」であり、こちらの都合は一切入らない
  • 相場が荒れて往復すれば数分〜数時間、動かなければ数週間

実例を出すと、介入週(7月30日〜8月3日)の決済には17分・30分・36分という玉が並んでいます(その記録)。一方、1月23日に建てた玉は38日間持ち越して3月2日に決済されました。同じ設計、同じ幅、同じロットで、保有期間だけが200倍以上違います。

時間を決めているのはトレーダーではなく、値動きです。

短い決済と長い決済で、何が違うのか

保有期間の長短は「うまさ」ではなく、買った位置がその後の値動きの中でどこにあったかの差です。

短く終わる玉(数分〜数時間) 下落の途中で買って、すぐ反発が来たケース。乱高下する相場では、この形が連続して発生します。介入週に25回の決済が集中したのはこれです。

長く残る玉(1週間以上) その水準を割り込んだまま相場が戻ってこないケース。この口座の含み損は、まさにこの状態の玉が積み上がったものです。いま保有中の12本のうち7本は、160〜163円という急落前の高い水準で買われています(含み損の内訳)。

つまり——含み損とは、まだ終わっていない保有期間のことです。この記事の「最長38日」も、決済されるまでは含み損として記録に載り続けていました。

スキャルピングでもスイングでもない

分類に当てはめようとすると、この運用はどこにも入りません。

分類一般的な保有期間この口座
スキャルピング数秒〜数分一部(1時間未満が20%)は該当
デイトレード数時間〜1日中央値8.7時間はここ
スイング数日〜数週間長期持ち越し組はここ
ポジショントレード数か月〜該当しない(最長38日)

1つの口座に3種類が同居している状態です。これは戦略を混ぜているからではなく、期間を決めない設計だから結果的にこうなるだけです。

自分の運用がどの分類かを気にする前に、自分の明細で保有期間を集計してみるほうが実態がわかります。「デイトレのつもりが平均5日持っていた」というズレは、集計しないと気づけません(明細の見方)。

保有期間が長いことのコストと利点

コスト - 資金が拘束される。他に使えたはずのお金が、戻りを待つために座り続ける - 含み損として口座の実力値(有効証拠金)を削り続ける(維持率への影響) - 精神的な負荷。数字より、この部分がきついという人は多いはずです

利点 - スワップが積み上がる。この口座は買い側なので受け取りで、7か月で+4,585円(スワップの実額) - 38日持ち越した玉は、値段では負けていたのにスワップで差し引きプラスになりました(−234円+843円=+609円)

長く持つこと自体に善悪はなく、耐えられるサイズかどうかだけが問題になります。

保有期間の分布を、月ごとに見ると

月によって値動きの性質が違うので、保有期間の出方も変わります。

  • 相場が動いた月(1月・7月):往復が多く、短い決済が積み上がる。7月は決済77件で、その多くが数時間〜1日以内
  • 動かなかった月(6月):決済がそもそも1件しかない。買い場も戻りも来ないので、保有期間という概念すら発生しない
  • じわじわ下げた月:買いは入るが戻らない。ここで長期持ち越し組が生まれる

つまり保有期間の分布は、その月の相場の性格をそのまま写した鏡です。運用を変えていないのに数字が変わるのは、写している対象が変わったからにすぎません。月ごとの詳細は月次レポートにまとめています。

「早く決済したい」と思ったときに起きること

記録には残らない話ですが、この運用で一番やりたくなるのは「含み損の玉を、決済指値まで待たずに切ること」です。長く持てば持つほど、その誘惑は強くなります。

この口座でそれをやった記録が1回だけあります。3月6日、いつもの5〜10倍のサイズで成行の売りを出し、同じ日のうちに投げました。結果は7か月で唯一の負けです(その日の時系列)。

保有期間を自分の意思で短くしようとした瞬間に、設計の外に出る——この記録から言えるのはそれだけです。

自分の明細で保有期間を数える手順

一般論を読むより、自分の口座で数えたほうが早いです。MT5のレポートがあれば5分で出せます。

1. MT5の「口座履歴」を右クリック → レポート → XLSXで保存(期間は全部) 2. 「ポジション(決済済み)」の表を開く。左端に約定時間、右のほうに決済時間の列があります 3. 表計算ソフトで `= 決済時間 − 約定時間` の列を作る。書式を「数値」にすると日数、24を掛ければ時間になります 4. その列を昇順に並べる。真ん中の値が中央値、平均関数が平均 5. 平均と中央値の差を見る。離れているほど、少数の長期玉に引っ張られている

ここで注意点が1つ。MT5の時刻はサーバー時間なので、日本時間とはずれます(夏時間+6時間、冬時間+7時間/時刻の読み方)。ただし差分を取るだけなら時差は相殺されるので、保有期間の集計に影響はありません。日付をまたいだかどうかを見るときだけ、換算が必要になります。

よくある質問

Q. 保有期間を短くするには? 決済幅を狭めれば短くなります(+50銭を+20銭にするなど)。ただし1回あたりの利益も減り、コスト(スプレッド)の比率が上がります。保有期間・利幅・コストはセットで動くので、片方だけを最適化することはできません。

Q. 長く持ちすぎだと感じたら、切るべきですか? このサイトは助言をしません。この口座は切らない設計ですが、それは事前に決めてあることが前提です(3類型の整理)。途中で「長すぎるから切る」と決めるのは、設計変更にあたります。

Q. 週末をまたぐと何が変わりますか? 市場が止まっている間もニュースは動くので、月曜の始値が金曜終値から離れて始まることがあります(窓)。持ち越しが多い運用では、この週末リスクが常につきまといます(取引時間の話)。

まとめ

  • この口座の保有期間は中央値8.7時間・平均54.2時間・最長38日
  • 平均と中央値が6倍離れるのは、少数の長期持ち越しが平均を引き上げるから
  • 保有期間はトレーダーではなく値動きが決めている(決済指値が固定だから)
  • 含み損とは、まだ終わっていない保有期間のこと
  • 自分の明細で集計すると「つもり」とのズレが見える。続きは運用日誌で毎日