この記事について
このサイトの書籍紹介は、実際に読んだものだけを載せる方針です。読んでいない本を10冊並べたランキングは作りません。運営者が「読んでよかった」と答えた本は、いまのところこの2冊です。
ただ、書名と値段を並べるだけなら書店のサイトで足ります。この記事がやるのは、本の主張と、この口座の7か月・決済140本の実録を突き合わせることです。本が「こうしろ」と言い、実際の口座が「こうなった」——両方を並べたときに初めて、本の言葉に体重が乗ります。
以下の口座実績は、特記がない限り2026年8月8日時点の明細に基づきます。最新値は記事上部の自動更新パネルと運用日誌で分けて確認できます。
1冊目:『デイトレード』——技術の本ではなく、負け方の図鑑
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術 |
| 著者 | オリバー・ベレス/グレッグ・カプラ |
| 訳 | 林 康史 監訳/藤野 隆太 訳 |
| 発行 | 日経BP(2002年10月21日) |
| ISBN | 4-8222-4297-8 |
| ページ数 | 約290ページ |
どんな本か
著者の2人は米国でトレーダー教育機関を運営していた実務家です。書名は「デイトレード」ですが、チャートパターンや必勝手法のカタログはほぼ出てきません。一冊まるごと「トレーダーが負ける原因は市場ではなく自分の中にある」を説く本です。
有名なのが、初心者が犯す「7つの大罪」の章です。要約すると——
1. すぐに損切りできない(小さな負けを受け入れられず、大きな負けに育てる) 2. 利益を先に数えてしまう(含み益を「もう自分のもの」と思い込む) 3. 時間軸をすり替える(短期のつもりが、負けた途端「長期投資」に化ける) 4. より多くの情報を求めすぎる(判断の遅れを情報収集で正当化する) 5. 勝ちに慢心する(連勝の後にサイズを上げて飛ばす) 6. 間違った勝ち方を覚える(ルール外の行動がたまたま報われ、悪癖になる) 7. 負けを正当化する(「戻るはず」と祈りに変わる)
20年以上前に書かれたリストですが、いまSNSで毎日観測できる失敗と一言一句レベルで同じです。この本の価値は古びないどころか、SNSで他人の失敗が可視化される時代になって、むしろ答え合わせがしやすくなりました。
この口座の実録と突き合わせる
正直に書きます。この口座は、この本の教えを半分守って、半分わざと破っています。
- 守っている側:「ルールを決めて感情で破るな」。この口座の142本の注文は50銭グリッドの±2銭に機械的に並び、介入で8円落ちた夜も同じ幅で買い続けました(検証/介入時の記録)。大罪③の「時間軸のすり替え」も起きません——最初から「戻るまで持つ」が設計だからです
- 破っている側:大罪①「すぐに損切りできない」。この口座は損切りを設計としてしません。2026年8月8日時点の未決済損益はスワップを含めて−38,167円でした。別時点の8月3日の原明細では、保有12本の価格差損益−46,248円のうち、高値側7本が−34,940円(損失額の75.5%)を占めています。8月3日の構成比を8月8日の内訳とは扱いません(日付を分けた含み損の中身)
この記録から確認できるのは、決済利益が積み上がっていても、未決済の損失が残るという事実です。一つの口座例だけで本の主張全体を実証したり、数量を小さくすれば損切りせずに安全に運用できると結論したりはしません(利益と含み損を分けた全記録)。
どんな人に効くか
- ポジションを持つとそわそわしてチャートを見続けてしまう人(メンタルの本なので直撃します)
- 損切りが「できない」ことを自覚している人(①と⑦の章だけでも読む価値があります)
- 逆に、手法・エントリーポイントを探している人には向きません。そこはほぼ書かれていません
2冊目:『マーケットの魔術師 システムトレーダー編』——「機械的に守る」側のプロ14人
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | マーケットの魔術師 システムトレーダー編 ―市場に勝った男たちが明かすメカニカルトレーディングのすべて |
| 著者 | アート・コリンズ |
| 発行 | パンローリング・ウィザードブックシリーズ(2005年5月27日) |
| ISBN | 978-4-7759-7052-2 |
| ページ数 | 290ページ |
どんな本か
原題は『Market Beaters』。著者のアート・コリンズ自身がシカゴの機械的システムのトレーダーで、「検証で確かめたルールを、決めたとおりに実行する」流儀のトレーダー14人へのインタビュー集です。日本で有名な『マーケットの魔術師』(シュワッガー)の系譜ですが、登場するのは裁量の天才ではなく、ラリー・ウィリアムズやトム・デマークのようなシステム側の人たちです。
一冊を貫くテーマは3つあります。
1. 聖杯は存在しない。むしろ「聖杯を探すのをやめること」が出発点だと繰り返し語られます 2. マネーマネジメントは感情のマネジメント。破綻はロジックの欠陥よりも、耐えられないサイズを持つことから始まる 3. ドローダウン(成績の落ち込み)の間もシステムを守れるか。作ることより、守り続けることが本題
この口座の実録と突き合わせる
この口座の運用(50銭刻みの買い指値+建値+50銭の決済指値)は、規模こそ小さいものの、この本が扱う「メカニカル」の入り口そのものです。
- 「プランに従うことは絶対命令」——介入公表の週、この口座の指値は相場観ゼロのまま25回決済し(記録)、週末クローズ2分前にも機械的に買いました。守る側の実例として、この本の主張とそのまま重なります
- 「マネーマネジメント=感情のマネジメント」——この口座の維持率1,006%は2026年8月8日時点の値です。急落中の最低維持率を示す数字ではなく、保有を続けられた理由を数量だけに特定する証拠でもありません。資金と数量の関係を考える際に、時点を揃えた維持率の実数と照合します
- 「ドローダウン中に投げないか」——この口座は2026年8月8日時点で含み損−38,167円のドローダウン中でした。その後の推移も毎日の運用日誌で公開しています。この本を読んでから日誌を見ると、「守り続ける」ことの具体的な中身が見えるはずです
どんな人に効くか
- EA・自動売買・リピート系に興味がある人(この口座のようなグリッドを含め、「機械的にやる」ことの覚悟が全部書いてあります。EA化の考え方はこちら)
- 「手法は決めたのに守れない」人(守っているプロの頭の中が読めます)
- 翻訳文体は少し硬めです。読み物としての滑らかさより、実務者の言葉の生々しさを取る本です
2冊をどう読み分けるか
| デイトレード | システムトレーダー編 | |
|---|---|---|
| 主題 | 負ける原因(自分) | 守り続ける技術(システム) |
| 形式 | 教科書・語りかけ | インタビュー集 |
| 効く場面 | ポジションを持つと不安になるとき | ルールを破りたくなるとき |
| この口座との関係 | 未決済の損失を振り返る材料 | 実行スタイルを振り返る材料 |
読む順番は『デイトレード』→『システムトレーダー編』をすすめます。前者で「自分が壊れるパターン」を知り、後者で「壊れないための仕組み化」を知る順番です。逆だと、仕組みの話が他人事に聞こえます。
2冊に共通して効く読み方——「自分の明細と照合する」
この記事の構成そのものが提案です。トレードの本は読んで終わりにすると、いい話を読んだ記憶だけが残ります。効かせる方法は一つで、本の主張を自分の取引明細と照合することです。
- 『デイトレード』の7つの大罪 → 自分の負けトレードの明細を並べて、どの罪に当てはまるか印をつける
- 『システムトレーダー編』の「ドローダウン中に守れるか」 → 自分が最も落ち込んでいた月の明細を出し、その月に取引の内容を変えたかどうかを確認する
この口座でやってみた結果が、この記事で示した突き合わせです。分類名に当てはめる前に、どの注文が事前のルールから外れていたのかを、明細と時系列で確認します(その日の時系列)。本に書いてある型に自分を当てはめるのではなく、自分の記録に本を当てる——読んだ内容を振り返る際の手順です。
明細の出し方とどこを見るかはMT5のレポートで最初に見る5つの数字にまとめました。
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- 紹介しているのは書籍そのものだけで、これらを読んでもこの口座のような結果になるわけではありません。この口座の結果自体、確定+81,399円と含み損−38,167円の両面です
更新履歴:2026年9月15日、8月3日の建玉構成比を8月8日の損益に結び付けていた説明を訂正し、価格差損益とスワップ込み損益を区別しました。維持率の観測時点を明記し、一つの口座例から書籍の正しさや安全性を断定する表現を見直しました。
