この記録はOANDA証券のMT5口座で取っています。よく似た注文条件を持つ国内口座として、MT4対応のFXTF
やヒロセ通商(LION FX)
があります。 どちらも1,000通貨から発注でき、注文時に決済指値を付けられます。FXTFはMT4、ヒロセ通商は独自の取引ツールです。
全体像——4つの部品しかない
複雑に見えても、部品は4つだけです。
1. 買う場所:現在値の下、50銭刻み 2. 決済する場所:それぞれの建値+50銭 3. サイズ:資金から逆算した1本あたりの通貨数 4. 決済後の動作:同じ場所にまた置き直す
相場を予想する部品は、この4つの中にありません。決めるのは「どこに」「いくらで」だけで、「いつ」「どちらに」は決めません。
STEP 1:口座を用意する
必要な条件は4つです(口座条件の詳しい分解)。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| ドル円が取引できる | 対象通貨ペア |
| 1,000通貨(0.01ロット)から発注できる | 小さく並べるため。1万通貨からの口座では、同じ資金で持てる本数が10分の1になる |
| 新規指値に決済指値(T/P)を同時に付けられる | 約定と同時に出口が立つ。この運用の核 |
| 指値を多数・長期間置ける | この口座には3月に置いた指値がいまも生きている |
MT4/MT5には新規指値とT/Pを設定する機能があります。ただし、最小取引単位・同時に置ける注文数・指値の有効期限は業者ごとに違うため、上の4条件は口座ごとに確認が必要です。この記録はOANDAのMT5ですが、注文の形そのものは他の取引ツールでも組めます。1,000通貨とIFD注文への対応を確認した口座の広告リンクは使っているもののページに置いています。
STEP 2:資金とサイズを決める(いちばん大事)
ここだけは飛ばさないでください。この運用の生死はサイズで決まります。
この口座の実例をそのまま出します。
| 項目 | この口座の実際 |
|---|---|
| 有効証拠金 | 約100万円(2026年8月8日時点) |
| 1本のサイズ | 0.01〜0.02ロット(1,000〜2,000通貨) |
| 保有合計 | 16,000通貨(11本、2026年8月8日時点) |
| 必要証拠金 | 100,900円(同日時点、有効証拠金の約10%) |
| この状態で8円超の急落を受けた結果 | 維持率1,006%(同日時点、計算の全手順) |
逆算すると「有効証拠金100万円あたり、合計2万通貨まで」程度の密度です。自分の資金に置き換えるなら——
- 有効証拠金30万円 → 合計6,000通貨(0.01ロットを6本まで)
- 有効証拠金50万円 → 合計1万通貨(0.01ロットを10本まで)
- 有効証拠金100万円 → 合計2万通貨
「本数」ではなく「合計通貨数」で管理するのがコツです。サイズを倍にすれば含み損も倍になります。この比率を大きく超える設計は、この記録の再現ではありません。
STEP 3:指値を並べる
MT4/MT5の新規注文画面で、Buy Limit(買い指値)に価格とT/P(決済指値)を入れるだけです。
- 価格:現在値の下、50銭刻み(例:156.50 / 156.00 / 155.50 …)
- T/P:それぞれ建値+50銭(156.50で買えたら157.00で決済)
- 有効期限:無期限(GTC)
- S/L(損切り):設定しない——これがこの設計の選択であり、同時にリスクそのものです
何本置くかは、STEP 2の合計通貨数の範囲内で決めます。この口座は下方向に約7円ぶん(150.0円まで)の指値を並べていますが、それは「そこまで買っても耐えられるサイズ」だからです。並べる範囲を広げるほど、下落時に持つ量が増えます。
STEP 4:決済されたら、同じ値段に置き直す
T/Pで決済されたら、同じ価格にもう一度Buy Limitを置き直します。この口座の記録では、8月3日に156.5円の玉が決済されたあと、同じ156.5円に指値が再設置されています(介入時の注文一覧)。
下がったら買う、戻ったら売る、また置く——繰り返しはこれだけです。判断する場面が一度も出てきません。それがこの形の全部です。
EA化するなら(ロジックの中身)
実はこの形は指値注文自体が自動で動くので、EAがなくてもほぼ放置で回ります。手作業が残るのは「決済後の置き直し」だけ。EA化する意味はそこの自動化です。
ロジックは疑似コードで書くとこれだけです。
- グリッド価格の一覧(例:156.50, 156.00, 155.50 …)を用意する
- 各価格について、その価格に「保有ポジション」も「未約定の指値」も存在しないなら、Buy Limit(価格、T/P=価格+0.50)を発注する
- これを定期的に(例えば1分ごとに)繰り返す
MQL(MT4/MT5のプログラム言語)の入門教材で最初に作る種類の簡単なEAです。ただし自作EAは発注ミスがそのまま実損になります。必ずデモ口座で1〜2週間動かしてから本番に移してください。検証ソフトの広告リンクは使っているものにあります。
なお、この口座はEAを使っていません。指値を手で置き直しているだけです。EAがなくても成立する形だ、というのはこの記録が示しています。
やってはいけないアレンジ(この記録の外に出る変更)
同じ形に見えて、リスクの性質が変わってしまう変更があります。この口座がやっていないことを、理由つきで挙げます。
1. 下がったからといってサイズを増やす(マーチンゲール化) 下値ほどロットを増やす手法がありますが、これは含み損の増え方が指数的になります。この口座は全部0.01〜0.02で固定です。増やした瞬間、この記録は参考になりません。
2. 決済幅を広げて「大きく取る」 +50銭を+2円に変えると、決済の頻度が激減して玉が滞留します。回転が止まると、含み損だけが積み上がる時間が長くなります。
3. グリッド幅を狭める(10銭刻みなど) 同じ下落幅で持つ本数が5倍になります。合計通貨数がSTEP 2の枠を超えるなら、それは別の運用です。
4. 上がったときに追いかけて買う この口座は「下がったら買う」だけで、上昇中に新規は入れません。上で買った玉が、次の下落で最も重い含み損になるからです(2026年8月8日時点では、含み損の75%が上で買った7本でした/含み損の内訳)。
5. 途中で設計を変える これが一番危険です。この口座の7か月で最大の負けは、ルールの外に出た1日に生まれました(その日の時系列)。
よくある質問
Q. 何本くらいから始めればいいですか? 本数ではなく合計通貨数で考えてください(STEP 2)。有効証拠金30万円なら合計6,000通貨——0.01ロットで6本です。「6本しか置けないなら意味がないのでは」と感じるなら、それは資金に対して欲しい利益が大きすぎるサインかもしれません。
Q. 現在値より上には何も置かないのですか? 置きません。この口座は「下がったら買う」だけです。上に買い注文(Buy Stop)を置くと、上昇を追いかけて買うことになり、次の下落で最も重い含み損になります。2026年8月8日時点では、含み損の75%が上で買った7本でした(含み損の内訳)。
Q. どこまで下に指値を置けばいいですか? 「そこまで買っても合計通貨数の枠に収まる範囲」までです。この口座は150.0円まで置いていますが、それは全部約定しても耐えられるサイズだからです。置ける範囲=耐えられる下落幅なので、先にサイズを決めてから範囲が決まります。逆順にしないでください。
Q. 平日ずっと見ていられないのですが、大丈夫ですか? この形は指値と決済指値だけで完結するので、見ていない時間に約定して、見ていない時間に決済されます。実際この口座も、介入週の決済の多くは深夜や早朝(サーバー時間/時刻の読み方)に成立しました。ただし「見なくていい」ことと「確認しなくていい」ことは別です。維持率だけは毎日見てください。
Q. 途中でやめたくなったら? 決済指値を消して成行で全部決済すれば終わります。その時点の含み損が確定損になります。やめ方のコストを先に知っておくことも設計の一部です。2026年8月8日時点なら、やめた瞬間に−38,167円が確定する状態でした。
最後に、もう一度だけ
形は渡しました。結果を決めるのは形ではなく、サイズと資金と、含み損の日々に耐えられるかです。この口座がそれにどう耐えているか(耐えられなくなったらそれも)、運用日誌で毎日そのまま公開しています。始める・始めないの判断は、この記録を見てからでも遅くありません。
