この記事について
このサイトの口座がやっている運用の説明です。手法のすすめではありません。うまいやり方だと言うためではなく、日誌の数字を読むときの前提になるので、取引明細から見える「形」をそのまま書きます。
この記録はOANDA証券のMT5口座で取っています。よく似た注文条件を持つ国内口座として、MT4対応のFXTF
やヒロセ通商(LION FX)
があります。 どちらも1,000通貨から発注でき、注文時に決済指値を付けられます。FXTFはMT4、ヒロセ通商は独自の取引ツールです。
やっていることは4行で終わる
- ドル円が下がったら買う。上がるのを待って売ることはしない
- 買う場所は50銭刻み。157.50、157.00、156.50……と、あらかじめ指値を並べておく
- 決済も機械的に、建値から50銭上に指値を置く
- 損切りはしない。下がった玉は上がってくるまで持つ
相場を予想して当てにいく要素がない。決めているのはロットと証拠金だけ、という運用になる。
記録がそれを示している(決済140本の検証)
「そういう方針です」と言うだけなら誰でも言えるので、2026年に決済を終えた140本の明細を集計した。
| 検証項目 | 結果 |
|---|---|
| 買いか売りか | 132本が買い(売りは3月の2本のみ) |
| 建値が50銭グリッド上か | 140本中100本が±2銭以内 |
| 決済指値の幅 | 最多は+0.50円(+0.50〜0.53が大半) |
| ロット | 0.01が86本、0.03が36本、0.02が9本(0.01〜0.03で98%) |
| 1件あたりの平均損益 | +581円 |
方針と明細が一致していることが、このサイトの数字の読み方の前提になる。たとえば勝率が高く出るのは腕ではなく、負けを確定させない設計だからというのがここから分かる(勝率のからくり)。
数字が「きれいに揃わない」理由も書いておく
上の表を見ると、グリッド適合は140本中100本で、100%ではない。都合の悪い数字なので、理由も明細から書く。
- 約定価格は指値と1〜2銭ずれることがある。指値は「その価格かそれより有利」で約定するので、実際の建値は156.498のように微妙にずれる
- 決済値は+0.50よりわずかに大きいことが多い(+0.51や+0.53が混ざる)。約定のタイミングによるもの
- 売りの2本は3月6日の例外。この日だけ設計の外に出ていて、それがこの7か月で最大の負けになった(その日の時系列)
つまり「完全に機械的」ではなく、設計は機械的で、実行に市場のノイズが乗っているというのが正確な表現になる。100%と書かないのは、明細がそうなっていないからだ。
なぜこの形なのか(構造としての説明)
この形が成立する理由を、感覚ではなく構造で書く。
理由1:判断する場面をゼロにできる 買う場所も売る場所も事前に決まっているので、相場を見て決める瞬間が一度もない。判断する場面がないということは、判断を誤る場面もないということになる(代わりに、判断で助かる場面もない)。
理由2:往復の値動きを拾う形になっている 下がって買い、戻って売る。この形が利益を出すのは相場が上下に往復したときで、上げっぱなし・下げっぱなしの相場では機能しない。介入週に25回の決済が成立したのは、急落そのものではなく急落に伴う乱高下のおかげだった(その記録)。
理由3:小さく分割して、1本あたりの重みを消す 0.01ロット1本の損益は数百円規模。1本ごとの当たり外れが小さいので、1回のミスが致命傷になりにくい。その代わり、1本ごとの利益も数百円にしかならない(1,000通貨の実額)。
通貨量・値幅・注文数を変えたときの金額は、損益と必要証拠金を概算する計算ツールで比較できます。
この形の代償
いい面だけ書くサイトにはしないと決めているので、代償も明細から書く。
- 下がり続けると、買った玉が含み損のまま積み上がる。実際、7月末に160〜163円で建てた玉を含む11本が保有中(8月8日時点)で、含み損は−38,167円(中身)
- 損切りしないということは、含み損の最大値を自分で決められないということでもある。決めているのはロットと、証拠金がどこまで耐えるかの設計だけ(維持率の計算)
- 確定損益がプラスの月でも、口座の実態(有効証拠金)は別の動きをする。だからこのサイトは両方を並べて出している
- 上げ相場では機能が止まる。買い場が来ないので新規が入らず、確定利益も伸びない。6月の確定損益が+537円・決済1件だったのはこの状態だった
過去には、サーバー時刻の1月23日に建てた玉を約38日(37日20時間28分47秒)保有して決済した記録もある。価格差損益は−234円だったが、スワップ+843円を合わせると+609円だった。旧表記「39日間」は2026年9月15日に原明細の開始・終了時刻から訂正した。決済記録だけでは保有中の全時点の含み損益までは分からない(原明細とスワップ込みの結末)。
よくある誤解
誤解1:「グリッドだから安全」ではない 分割して買うので1本ごとのリスクは小さくなりますが、合計のリスクは本数分だけ積み上がります。11本持てば、1円の下落で11本分の含み損が同時に増えます。分割は「1回の判断ミスを小さくする」だけで、下落そのものへの耐性を作るのはサイズと資金です。
誤解2:「損切りしないから負けない」ではない 負けが確定していないだけで、含み損は口座の実力値(有効証拠金)を削ります。2026年8月8日時点の「本当の成績」は確定+81,399円ではなく、含み損を引いた+43,232円でした(計算)。
誤解3:「機械的だから感情が入らない」わけでもない 仕組みには感情が入りませんが、運用者には入ります。この口座の最大の負けは、仕組みの外で成行注文を出した1日に生まれました。仕組みが感情を防ぐのではなく、仕組みを守るかどうかが感情の勝負になります。
誤解4:「ドル円だから安心」ではない 主要通貨ペアで流動性が高いのは事実ですが、今回のように8円の急落が3営業日で起きることもあります。安心の根拠にはなりません(介入時の記録)。
この形の「終わり方」
正直に、この運用が終わるパターンも書いておきます。
- 強制ロスカット:下落が続き、維持率が業者の水準を割る。含み損が一気に確定して終わる
- 自主的な撤退:耐えられなくなって全部決済する。その時点の含み損がそのまま損失になる(2026年8月8日時点なら−38,167円)
- 設計の破綻:サイズを上げる、幅を変える、方向を変える——どれかをやった時点で、この記録の続きではなくなる
この3つのどれかが起きたら、それもこのサイトに数字ごと書きます。うまくいっている記録だけを残して終わるサイトにはしません。
この形に向いていない人
記録から言えることとして、この形が合わない条件を挙げる。
- 短期で結果が欲しい人:往復が起きるまで何も起きない。6月のように1か月で決済1件の月もある
- 含み損を見続けるのが苦痛な人:この形は含み損を抱えている時間のほうが長い
- 資金に対して大きく張りたい人:サイズを上げると、同じ下落で含み損が比例して増える。この形の生存はサイズの小ささに依存している(サイズの逆算)
この形をどう記録しているか
最後に、記録の作り方も書いておく。この運用は判断の記録が残らない(判断していないので)代わりに、注文の記録が全部残る。
- 建てた日時・建値・ロット・決済指値・決済日時・決済値・スワップ・損益——全部がMT5の明細に1件ずつ残る
- このサイトの日誌と月次レポートは、その明細から自動生成している。手入力はしない
- だから「あとから都合よく書き換える」ことができない。数字が合わなければ検算が落ちる(明細の見方)
裁量の運用だと「なぜそこで買ったか」を後から書くしかないが、この形はなぜもクソもない。指値がそこにあったから買った、それだけになる。書くことが少ない代わりに、書いたことは全部検証できる。
まとめ
- やっているのは「50銭刻みの買い下がり・+50銭決済・損切りなし」で、それは決済140本の明細で検証できる
- 明細は完全には揃わない。設計は機械的、実行にはノイズが乗る——それも含めて記録として出す
- この形の勝率や確定損益は、設計上そう見える数字であって、実力の証明ではない
- 代償は含み損の積み上がりと、上げ相場での機能停止。それもこのサイトでは隠さず出す
同じことをすすめる記事ではない。この口座の記録を読むときの、地図として置いておく。同じ形を自分の口座で組む手順は再現手順の記事にまとめた。
