この記事について

FXの話題で必ず出てくるのが「曜日のアノマリー」と「時間帯の癖」です。金曜は荒れる、月曜は窓が開く、東京時間は動かない——検索するといくらでも出てきます。

ただ、その多くは一般論で、根拠になる明細が付いていません。この記事は逆に、この口座の決済134本を曜日と時間帯で全部数えた結果だけを出します。数字はMT5の取引明細そのままで、時刻はすべて日本時間に換算しています(サーバー時間との差は夏時間+6時間・冬時間+7時間/時刻の読み方)。

先に結論を言うと、「勝ちやすい曜日」は見つかりませんでした。見つかったのは、それとは別のもっと単純な事実です。

曜日別の実績(決済134本)

曜日建てた決済した確定損益1件平均
2219+11,388円+599円
1816+11,299円+706円
1921+10,065円+479円
3529+14,994円+517円
3441+22,901円+559円
68+310円+39円

合計は+70,957円です。サイトの看板に出ている確定損益+75,542円との差4,585円は、スワップが別勘定だからです(スワップの実額)。70,957+4,585=75,542で一致します。

金曜が突出して見える理由

表だけ見ると「金曜が稼ぎ頭」に見えます。決済41件・+22,901円は、全体の3分の1近くです。

ただ、1件平均を見ると金曜は+559円で、火曜(+706円)より低く、全体平均(+530円)とほぼ同じです。つまり金曜は1件あたりが優秀なのではなく、単に件数が多いだけです。

なぜ件数が多かったのか。この運用は「50銭下がったら買い、50銭戻ったら売る」だけなので、決済件数はそのまま往復の回数です(運用の形)。つまり金曜に往復が多かった=この7か月は金曜に値動きがあった週が多かった、というだけの話になります。

実際、7月30日〜8月3日の介入相場も木金に集中しました(その記録)。曜日の癖ではなく、たまたま動いた日が偏った——これが記録から言える範囲です。

土曜に8件も決済があるのはなぜか

土曜は市場が閉まっているはずなのに、決済が8件あります。これは時差の見え方です。

土曜決済8件の日本時間を並べると、00:29 / 02:43 / 03:43 / 03:46 / 04:27 / 04:32 / 06:58 で、すべて深夜〜早朝です。日本時間の土曜未明は、ニューヨークではまだ金曜の取引時間です。

  • 日本時間 金曜21時〜土曜6時 = ニューヨーク市場の金曜
  • だから「土曜の決済」は、実質すべて金曜のNY時間

曜日で成績を語るときは、どのタイムゾーンの曜日かを決めないと数字が動きます。この記事は日本時間で数えているので、NY基準で数えれば土曜の8件は金曜に合流し、金曜はさらに増えます。

時間帯:買うのはNY、売れるのは東京

もっとはっきり出たのは、曜日ではなく時間帯の非対称でした。

時間帯(日本時間)新規で買った決済した
東京 8〜15時2940
欧州 15〜21時3835
NY 21〜2時5034
深夜〜早朝 2〜8時1725

買いはNY時間に最も多く(50件)、決済は東京時間に最も多い(40件)。この運用は買い下がりなので、これを言い換えるとこうなります。

  • 下がる(=買い指値が刺さる)のは、NY時間に多かった
  • 戻る(=決済指値が刺さる)のは、東京時間に多かった

米国の指標発表や要人発言はNY時間に集中するので、下方向の勢いがその時間に出るのは説明としては自然です。ただしこれは134本ぶんの記録であって、法則ではありません。同じことが来月も起きる保証はどこにもありません。

期間を半分に割ると、曜日の順位が入れ替わる

「金曜が多い」が曜日の性質なら、どの期間を切っても同じ形が出るはずです。実際にやってみました。

曜日1〜4月(73件)5〜8月(61件)
11%18%
16%7%
23%7%
26%16%
15%49%
8%3%

前半の主役は水曜と木曜(合わせて49%)、後半は金曜ひとりで49%。同じ口座、同じ設定、同じ通貨ペアで、たった4か月ずらしただけで順位が入れ替わりました。

これが「曜日のアノマリー」を記録で検証したときに起きることです。曜日に性質があるのではなく、値動きが来た日にたまたま件数が積み上がる。7か月ぶんをまとめて見ると「金曜が多い」に見えますが、それは後半の偏りが全体を引っ張っているだけでした。

もしこの表を見ずに前半の数字だけで「水木が来る」と決めていたら、後半は完全に外していたことになります。

この数字が「使えない」理由

ここまでの数字を見て「じゃあNY時間だけ買えばいい」と考えたくなるかもしれません。この運用ではそれをやりません。理由は2つあります。

1. 標本が小さい 曜日ごとに16〜41件しかありません。1件が数百円の運用で、この件数から「傾向」を取り出すのは無理があります。1つの通貨ペア・7か月・1口座の記録です。

2. 時間帯を選ぶと、判断が増える この運用の生命線は「判断する場面が一度もない」ことです。指値を置いたら、あとは値動きが決めます。ここに「NY時間だけ」という条件を足すと、時計を見て手を止める場面が生まれます

判断を増やした結果がどうなるかは、この口座に記録が残っています。7か月で唯一の負けは、決めた形の外に出た1回から出ました(その日の時系列)。

自分の明細で曜日・時間帯を数える手順

一般論を読むより、自分の口座で数えたほうが早いです。

1. MT5の「口座履歴」を右クリック → レポート → XLSXで保存 2. 「ポジション一覧」の表を開く。左端が約定時間、右のほうに決済時間の列があります 3. 時刻を日本時間に直す:`= 時刻 + TIME(6,0,0)`(夏時間期間。冬は7時間) 4. `=TEXT(日本時間,"aaa")` で曜日、`=HOUR(日本時間)` で時刻を取り出す 5. ピボットテーブルで曜日別・時間帯別に件数と損益を集計

注意点が1つ。曜日を数えるときだけは時差の換算が必須です。保有期間のように差分を取る集計なら時差は相殺されますが(保有期間の記録)、曜日は換算しないと1日ずれます。

よくある質問

Q. 月曜の窓(ギャップ)はありましたか? この記録では、月曜の始値が金曜終値から大きく離れて始まった結果として指値が飛ばされたケースは確認できませんでした。ただし持ち越しが前提の運用なので、週末リスクは常にあります。介入級のニュースが週末に出れば、当然この記録も変わります。

Q. 東京時間は動かないと聞きますが? この口座では東京時間の決済が最多(40件)でした。「動かない」ではなく「戻りが出やすい時間だった」という結果です。ただし決済が多い=値幅が大きいではありません。50銭戻れば決済されるので、小さな戻りでも件数は増えます。

Q. 曜日で成績が変わるなら、稼働日を絞ればいいのでは? このサイトは助言をしません。書けるのは「この口座は絞っていない」ということと、絞れば判断する場面が増えるという構造の話だけです。

Q. スワップは曜日で違いますか? 水曜のロールオーバーで3日分のスワップが付くのが一般的です。この口座も買い持ちなので受け取りが発生しますが、上の表の損益はスワップを含まない価格差だけの数字です。分けて見るのがこのサイトの方針です。

まとめ

  • 決済134本を日本時間で数えると、金曜の件数が最多(41件・+22,901円)
  • ただし1件平均は金曜+559円で全体平均並み=稼ぎ頭ではなく件数が多いだけ
  • 土曜の決済8件は、実質すべて金曜のNY時間(時差の見え方)
  • 期間を半分に割ると順位が入れ替わる(前半は水木で49%、後半は金だけで49%)=曜日に性質があるのではない
  • はっきり出たのは曜日ではなく時間帯の非対称:買いはNY時間、決済は東京時間
  • ただし134本・7か月・1口座の記録であって、法則ではない
  • 時間帯を選べば判断が増える。この口座はそこを増やさない

明日の数字も、同じ形式で出し続けます(運用日誌)。