3つの数字が食い違う
MT5を開くと、似ているのに一致しない数字が並びます。
次は、2026年9月5日7:44時点の実口座です。最新値はトップページと運用日誌で更新しています。
- 残高:1,076,219円
- 有効証拠金:995,802円
- 含み損益:−80,417円
「で、結局いくら持ってるの?」となるところです。ここが分かると、他人の成績を見たときに何が起きているかも読めるようになります。
その後の実例: 9月11日時点の記録では、9月6日版から決済益が3,070円増えた一方、含み損が54,368円拡大し、有効証拠金は51,298円減りました。残高だけでは分からない変化を、2時点の表で確認できます。以下は引き続き9月5日時点の数字を使った説明です。
いくらから始められるかは最小取引単位で決まります。1万通貨単位の口座だと、ドル円157円なら 1本で約6.3万円の証拠金が要ります。1,000通貨単位ならその10分の1です。この記録と同じ 1,000通貨から発注できる国内口座にはFXTF
やヒロセ通商(LION FX)
があります。
残高=決済が終わった分だけの合計
残高は、すでに決済が終わった取引の結果と、入金・出金を足し引きした金額です。
ポジションを持っている最中は、いくら含み損が膨らんでいても残高は動きません。決済したその瞬間に、はじめて残高に反映されます。
つまり残高は「過去の確定分の記録」です。いま持っているポジションの状況は、ここには一切入っていません。
含み損益=まだ決済していない分の評価
含み損益は、保有中のポジションを今の値段で決済したらいくらになるかという評価額です。
この口座は8月8日時点で−38,167円。上の値段で買ったポジションが残っていて、価格がそこまで戻っていない状態です(最新の値は運用日誌で毎日更新)。
含み損益は、決済するまで確定しません。だから残高には出てきません。ここが「勝率が高いのに口座が増えていない」という現象が起きる場所です。損切りをしなければ、負けは確定せず、含み損としてここに溜まり続けます。
有効証拠金=いま口座を閉じたらいくらか
有効証拠金は、この2つを足したものです。
有効証拠金 = 残高 + 含み損益
実際に計算してみます。
1,076,219円 +(−80,417円)= 995,802円
これが「いま全部のポジションを決済したら手元に残る金額」です。口座の本当の姿に一番近いのは、この有効証拠金です。
どれを見るべきか
3つとも意味があるので、使い分けです。
| 数字 | 何を表すか | いつ見るか |
|---|---|---|
| 残高 | 確定した結果の合計 | 手法の成績を振り返るとき |
| 含み損益 | 未確定の評価 | いまどれだけリスクを抱えているか見るとき |
| 有効証拠金 | 残高+含み損益 | 口座の現状を知りたいとき |
成績を見せている人が残高や確定損益だけを出していて、含み損益を出していない場合、その数字は口座の現状を表していません。悪意がなくても、そうなります。だからこのサイトでは、確定損益と含み損益を必ず同じ場所に並べています。
ついでに:証拠金維持率
もう一つ、有効証拠金から計算される数字があります。
証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
必要証拠金は、いま持っているポジションを維持するために口座に置いておかなければならない金額です。この維持率が一定の水準を下回ると、FX会社の判断でポジションが強制的に決済されます(ロスカット)。
含み損が膨らむと有効証拠金が減るので、維持率も下がります。含み損を放置する運用をしている人にとって、実際に効いてくるのはこの数字です。ロスカットの水準はFX会社ごとに違うので、自分が使っている会社の条件を確認してください。
用語のもう一段細かい話
MT4/MT5の口座サマリには、ほかにも似た用語が並びます。混乱しやすいので整理しておきます。
- 必要証拠金:いまのポジションを維持するために拘束されている金額。「レート×数量÷25」(国内・レバレッジ25倍)
- 余剰証拠金:有効証拠金 − 必要証拠金。新しくポジションを持てる余力にあたる部分
- 証拠金維持率:有効証拠金 ÷ 必要証拠金 ×100。強制決済までの距離(詳しい計算)
この口座の8月8日時点なら、必要証拠金100,900円・余剰証拠金914,452円・維持率1,006%です。残高だけ見ていると、この3つはどれも見えません。
3つの数字が、それぞれ何に使われるか
同じ口座に3つの数字があるのは冗長に見えますが、用途が違います。
| 数字 | 何を表すか | 主な用途 |
|---|---|---|
| 残高 | 決済が終わった結果の累計 | 確定損益の追跡、入出金の記録 |
| 含み損益 | 保有中の玉の評価 | いまのリスクの大きさを測る |
| 有効証拠金 | 残高+含み損益=いま全部決済したら残る額 | 維持率の計算、口座の実力値 |
証拠金維持率の分子になるのは有効証拠金です(維持率の計算)。つまり、強制決済までの距離を決めているのは残高ではなく有効証拠金ということになります。残高だけを見て「まだ余裕がある」と判断すると、実際の距離を見誤ります。
数字がずれる典型的な場面
3つの数字の差が特に開くのは、次のような場面です。
1. 損切りをしない運用で、相場が逆行しているとき 決済しないので残高は変わらないのに、含み損だけが増えていきます。2026年9月5日7:44時点のこの口座もこの状態で、残高1,076,219円に対して有効証拠金は995,802円です。
2. 含み益を抱えているとき(逆のパターン) 有効証拠金が残高を上回ります。この状態で「口座が増えた」と判断してサイズを上げると、含み益が消えた瞬間に苦しくなります。
3. 入金した直後 残高も有効証拠金も同額だけ増えますが、含み損は1円も減りません。入金は距離を延ばすだけで、抱えているものを消してはくれません(入金の記録)。
成績を見るときの使い分け
他人の成績を見るときも、自分の口座を見るときも、この3つで判断できます。
- 「今月+◯万円」と書いてある → 残高ベースの話。含み損は含まれていない
- 「口座残高が◯倍に」と書いてある → 入金が含まれている可能性がある
- 有効証拠金と含み損益が併記されている → 実態が見える記録
このサイトのトップページが確定損益・含み損益・有効証拠金を必ず同じ場所に並べているのは、この3点セットが揃って初めて口座の状態が伝わるからです。片方だけを出す成績公開は、悪意がなくても情報として不完全になります(勝率の話)。
実例:介入の3営業日で3つの数字がどう動いたか
15年ぶりの協調介入で8円超の円高が来たとき、この口座の3つの数字は別々の動きをしました。
| 急落前(7月30日ごろ) | 8月3日 | 動き | |
|---|---|---|---|
| 残高 | 約1,030,000円 | 1,053,519円 | 増えた(決済25件ぶんの確定利益) |
| 含み損益 | 小さい | −38,167円 | 大きく悪化 |
| 有効証拠金 | 約1,030,000円 | 1,015,352円 | 減った |
同じ期間に、残高は増えて有効証拠金は減っています。残高だけ見れば「儲かった週」、有効証拠金で見れば「削られた週」です。どちらも本当で、どちらか片方だけを成績と呼ぶと事実が歪みます(この週の全記録)。
このサイトが数字を3つ並べる理由は、この表がすべてです。
よくある質問
Q. どの数字を毎日見ればいいですか? この口座は有効証拠金と含み損益を毎日見ています。残高は決済したときにしか動かないので、毎日見る必要が薄いためです。逆に、確定損益だけを毎日追っていると、含み損の進行に気づくのが遅れます。
Q. 含み損益はいつの価格で計算されますか? その瞬間に決済できる価格(買いポジションなら売値)で評価されます。相場が荒れてスプレッドが広がると、同じレートでも評価損は不利側に振れます。
Q. 有効証拠金がマイナスになることはありますか? 通常は強制ロスカットが先に発動しますが、価格が飛んだ場合(週明けの窓や急変時)は、ロスカットが間に合わずマイナスになる可能性があります。国内業者では追証(不足額の入金)の対象になります。このリスクはサイズを小さくする以外に消せません。
Q. 出金できる金額はどれですか? 一般には余剰証拠金の範囲ですが、業者の規定によります。少なくとも「残高=自由に使えるお金」ではない、という理解が出発点です。
まとめ
- 残高は、決済が終わった分だけ
- 含み損益は、まだ決済していない分の評価
- 有効証拠金 = 残高 + 含み損益。いま口座を閉じたらいくらか
- 成績を見るときは、確定した数字と含み損益をセットで見る
