結論:「20万円以下なら何もしなくてよい」ではない
FXの利益が20万円以下でも、全員が確定申告不要になるわけではありません。よく言われる「20万円ルール」は、年末調整を受けた一定の給与所得者が、所得税の確定申告を省略できる条件です。
最初に3つを分けると迷いにくくなります。
1. 所得税:条件を満たす給与所得者は、給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下なら原則として申告不要 2. 住民税:所得税の確定申告を省略しても、自治体への申告が必要になることがある 3. 年末前の損益:いま20万円以下でも、その年の最終額はまだ決まっていない
このサイトの実口座は2026年8月16日時点で確定損益が+89,871円です。金額だけなら20万円を下回っていますが、年の途中なので「2026年分は申告不要」とはまだ判定できません。さらに、給与の状況、ほかの副収入、必要経費、還付申告の有無まで確認して初めて申告要否を判断できます。
年間損益報告書の項目や、未決済スワップが確定する時点は口座ごとに確認が必要です。 この記録はOANDA証券のMT5明細で検算しています。1,000通貨から取引できる国内口座にはFXTF
やヒロセ通商(LION FX)
があり、 申込前に年間帳票の取得方法と取引履歴の出力方法も公式画面で確認できます。
20万円ルールを使えるのは、条件を満たす給与所得者
国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」は、次のような場合に、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら原則として所得税の確定申告を要しないと説明しています。
- 給与等の収入金額が2,000万円以下
- 給与を1か所から受けている
- その給与が源泉徴収・年末調整の対象になっている
- 給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下
つまり、20万円はFXだけを見ればよい数字ではありません。FXの所得が15万円でも、ほかの副業所得が10万円あれば、給与・退職所得以外の所得合計は25万円です。複数の所得を別々に20万円まで無視できる仕組みではありません。
給与収入が2,000万円を超える人、源泉徴収されない給与がある人、個人事業主などは、この給与所得者向けの例外だけを根拠に「20万円以下だから不要」とは判断できません。国税庁の条件表と自分の状況を照らし合わせる必要があります。
「利益20万円」は入金額でも口座残高でもない
申告要否を見る20万円は、口座への入金額、取引数量、証拠金、口座残高ではなく、税務上の所得金額です。
国税庁の確定申告書等作成コーナーは、「先物取引に係る雑所得等」の表示金額を、収入の合計から必要経費等の合計を控除した金額と説明しています。
FXの所得金額 = 先物取引に係る収入金額 − 必要経費等ただし、何が必要経費になるかは、支出の内容と取引との直接の関係で決まります。「パソコン代なら何でも全額」「通信費なら自動的に全額」とは限りません。領収書や計算根拠を残し、判断に迷う支出は税務署または税理士に確認します。
実口座の+89,871円は、まだ年間の判定額ではない
この実口座の2026年8月16日11:03時点の確定損益は、次の内訳です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 決済済みの価格差損益 | +84,901円 |
| 決済済みのスワップ | +4,970円 |
| 手数料 | 0円 |
| 確定損益合計 | +89,871円 |
84,901円 + 4,970円 + 0円 = 89,871円20万円との差は110,129円あります。しかし、これは8月16日までの途中経過です。年末までの決済で利益が増えることも、損失が確定して減ることもあります。
また、この口座には同日時点で未決済9本の評価損益−15,793円があります。個人の未決済ポジションの含み損益は通常、決済済み損益と分けます。いまの確定損益から含み損を引いて「税務上は74,078円」とする計算ではありません。詳しくは含み益・含み損に税金はかかる?で整理しています。
申告要否が分かれる5つのケース
| 状況 | 所得税の確認点 |
|---|---|
| 年末調整済みの給与が1か所、給与収入2,000万円以下、給与・退職所得以外の所得合計20万円以下 | 原則として確定申告を要しない場合がある |
| FX15万円+別の副業10万円 | 合計25万円。FXだけで20万円判定をしない |
| 医療費控除などのため還付申告をする | 20万円以下の所得も申告に含める |
| 個人事業主、給与が年末調整されていないなど | 給与所得者向け20万円ルールだけで不要とは判断しない |
| FXで年間損失が出て、翌年以後へ繰り越したい | 繰越控除には確定申告が必要 |
特に3つ目は見落としやすい点です。国税庁は、20万円以下なので本来は申告不要となる給与所得者でも、医療費控除などの還付申告をする場合は、その20万円以下の所得も併せて申告する必要があると明記しています。
「FXだけなら20万円以下だったので、確定申告書からFXだけ外す」という選び方はできません。
所得税を申告しなくても、住民税の申告は別に確認する
20万円以下の申告不要制度は、所得税の話です。住民税には同じ省略ルールがそのまま適用されるわけではありません。
横浜市「市民税・県民税の申告について」は、給与以外の副収入について、合計20万円以下なら原則として所得税の確定申告は不要でも、市民税・県民税の申告は必要と案内しています。
所得税の確定申告を提出すれば、その内容は自治体にも連携されるため、通常は同じ所得について住民税申告を別に重ねません。一方、20万円以下の制度を使って所得税の確定申告をしない場合は、居住する市区町村の住民税申告を確認します。
申告方法や不要となる条件は自治体の案内で確認してください。横浜市の説明は全国共通の提出窓口を示すものではなく、実際の提出先はその年の翌年1月1日時点の住所地の市区町村です。
損失でも、3年繰越を使うなら申告する
FXで損失が出た年は納付税額がないことがあります。それでも「申告する意味がない」とは限りません。
国税庁「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」は、一定の要件の下で損失を翌年以後3年間繰り越せると案内しています。この適用には、必要な付表・計算明細書を添付した確定申告書の提出が必要です。
今年の損失を申告せず、翌年に利益が出てから過去分を使おうとしても手続きが成立しない場合があります。損失年こそ、繰り越すかを年ごとに判断します。
年末に見る順番
1. 利用したすべてのFX会社・口座を一覧にする 2. 1月1日から12月31日までの確定損益を揃える 3. 売買損益、確定スワップ、手数料を確認する 4. FXとほかの給与・退職所得以外の所得を合計する 5. 必要経費等の根拠資料を整理する 6. 給与の支払先、年末調整、給与収入額を確認する 7. 医療費控除など、ほかの理由で確定申告するか確認する 8. 所得税を申告しない場合は、居住自治体の住民税申告を確認する 9. 損失なら3年繰越を使うか決める
FX会社ごとの書類名と取得場所は年間損益報告書はどこで見る?、複数口座の扱いはFX口座は複数持てる?で確認できます。口座の取引単位やツールを比較する場合は公式情報で比べる口座ツールも使えます。
まとめ
- 20万円以下の申告不要は、条件を満たす給与所得者に対する所得税の例外
- 判定するのはFXだけでなく、給与・退職所得以外の所得金額の合計
- 20万円は入金額・残高ではなく、収入から必要経費等を引いた所得金額
- 医療費控除などで確定申告するなら、20万円以下の所得も申告に含める
- 所得税を申告しない場合でも、住民税申告は居住自治体へ確認する
- 実口座の+89,871円は8月16日時点の途中経過で、年間の申告要否はまだ決まらない
- 損失の3年繰越を使うには確定申告が必要
この記事は公開日時点の国税庁・自治体の一般案内と実口座データを整理したもので、個別の税務判断ではありません。給与、他の所得、控除、居住自治体によって手続きが変わるため、最終判断は税務署、市区町村または税理士へ確認してください。
